言葉の定義を合わせなければ話は進まない
「私ばかりが空回りして、なんだか仕事がうまくいかない」
コーチングのクライアントさんや、顧問先の若い/新任のマネージャー(主任レベルというよりは、課長レベル以上)から受けることの多い相談に「私ばかりが空回りして、なんだか仕事がうまくいかない」というのがあります。
「空回り」の原因はいろいろあるのでしょうが、そもそも生きてきた文化が違うので使っている言葉の定義(会話の前提条件)が合っておらず、話自体が通じていない可能性が高いでは無いかなと思います。
「Do you get it?」あるいは「I mean・・・」
私の口癖で「わかる?」というのがあります。
何か説明した時だけでなく、自分の意見を言った後もこのフレーズを無意識に使っています。
以前、誰かに「海外生活長いんですか?」と尋ねられてから、自分の発言を気にしているのですが、なるほど、しょっちゅう言っています。
Do you get it?
I mean・・・
英語圏の人の会話を注意深く聞いていると、そんなフレーズがでてきますよね。
それを私的日本語訳で「わかる?」と言っているようです。
「シールでいい」と言うか「袋いらない」と言うか?
今朝、出かけ側にコンビニに寄ってお茶を1本買いました。
suicaで支払い「シールでいいです」と伝えたところ、レジの女性(日本人)に「シール切れていて、申し訳ありません」と言われました。
言葉の定義が違うことで全く話が通じていない例です。
私は、袋に入れてもらう時間を節約したいというのと、すぐに飲みたいしバックに入るから袋は必要ないということを伝えたく。そして、購入したかどうかの証明のためにレジの人たちがJANコードにシールを貼るのを知っているので、先回りして「シールでいいです」と言いました。
しかし、今回のレジの女性は、シールを貼って欲しいって要望だと受け取った上に、それに応えられないことに申し訳ない気持ちまで抱いたのです。
「袋いりません」と伝えたら通じてたかもしれませんが、それでももしかしたら定義が違うかもしれませんね。
「同じはあり得ない」とこころせよ
私は高校時代に米国に留学していたり、その後の仕事でも日本以外の人たちと仕事をしていたりということで、Do you get it? とI mean・・・の文化を持っています。
ディベートの授業でも、仕事上の会話でも、話がすれ違っていないかの言葉の定義確認は非常に重要と訓練されているのです。
この訓練は「同じはあり得ない」という前提であるため、日本人的な思考ではネガティブな印象を持つかもしれません。
言葉を変えれば「多様性」というイマドキの概念でもあるのです。
言葉の定義を合わせなければ話は進まない
さて、「空回り」の原因に話を戻しましょう。
日本人は「単一民族」「島国」「総中流」だから言わなくても伝わる、空気が大事な文化。そんなことを、TVや新聞などからよく聞きます。
しかしながら、同じ日本人ながら、私とあなたの育ってきた環境や、そこをベースとした思考方法が全く同じということはありませんよね。
多分、あなたは会話の端々に「わかる?」とは入れないでしょうし、「わかる?」と聞かれることに抵抗あるいは驚きを感じると思います。
それこそが私とあなたの同じ文化でないということ、「わかる?」の定義の違いということでしょう。
「わかる?」と逐一定義を確認した方が良いと言いたいわけではないのです。
同じ会社で働き、一緒のチームで働いている皆さんとは、会社の中で脈々と受け継がれてきた文化に支えられた言葉の定義はきっと相当近しいことでしょう。
とは言え、「伝わっていない」というのを前提にしていた方が物事は受け入れやすく、また擦り合わせもしやすいのではないでしょうか?
もし、「空回り」が気になるようでしたら、お互いの言葉の定義にギャップが無いかを確認してみるのがオススメです。
コツとしては相手が話していることの大事そうな言葉や、使い方が違っているかもしれない言葉を繰り返すということ。
繰り返すことで、その言葉の定義や前提を相手が自動的に説明してくれるようになります。
そんなコツを試しつつ、理解したいと思って行動することが「空回り」から抜け出すキッカケになることでしょう。
*私の「わかる?」は意図が伝わっているかの確認用の口癖ですので、お気になさらずお付き合いください。
「私ばかりが空回りして、なんだか仕事がうまくいかない」と不安や焦りを感じているなら、コーチングを受けてみることで、客観的に現状を把握することができます。
ご興味がある方は、体験セッションをお申し込みいただければ、その効果を実感できることでしょう。
もちろん、コーチとの相性の確認も大事ですし。